『花子とアン』あらすじ第154回

ある日のこと、小鳩書房の小泉が社長を連れてやってきました。
「“アンクル・トムズ・ケビン”の時は、お世話になりました(笑)」
小鳩書房の社長・門倉が花子に挨拶をした。
「こちらこそ(笑)」」
小泉と門倉は訪問した目的を花子に話した。
「弊社としては“風と共に去りぬ”に続くような女性読者をつかむ新しい作品を探しているんです」
「まだ日本に紹介されていなくて村岡先生が『これだ!』と思うものはないですか?」
「…ちょっとお待ちください」
花子は、すぐさま自室に戻り“赤毛のアン”の翻訳原稿を手に取った。
すると一部始終を見ていた娘の美里が怪訝そうな顔を浮かべながら声をかけてくる。
「お母様、それ、前にも小鳩書房さんに見せて断られたんじゃなかったでしたっけ?」
「ええ…他の出版社にもさんざん断られたし…ダメでもともと(笑)」
>6年間、花子は出版してくれるところを探し回りましたが、未だにどこも見つかっていないのでした。

花子が持ってきた原稿を見て、すぐに小泉は思い出した。
「主人公のアンが魅力的だったのでよく覚えています。まだ出版されてなかったんですね」
「ええ、日本では知られていない作家だから皆さん冒険したがらなくて…」
小泉は原稿を見ながら必死に思い出そうとしている門倉に気がついた。
「覚えてませんか?終戦後すぐに村岡先生から“アンクル・トム”と一緒にご提案頂いたものですよ」
門倉は難しい顔をしたままだった。
「ただ新しいものではないんですよ。原作が書かれたのは40年以上も前の話ですし“風と共に去りぬ”のようにドラマチックな展開もありません。けど、アメリカやカナダでは大層人気のある作家なんです」
「僕は大変面白いと思いました。どうですか?今なら冒険する余裕もあるじゃないですか?」「…本当にそんなに面白いの?」
門倉の言葉に花子と小泉は目を丸くした。
「…えっ?社長、ひょっとして、読まずに断ったんですか?」
小泉が尋ねると門倉は照れくさそうに笑った。
「いやーお詫びしなきゃいけないですね。実は読んでないんですよ。あの頃は知名度の低い作家に手を出す程、うちも余裕がなかったんです。タイトルもパッとしないじゃないですか?緑の屋根の家に住んでる、女の子の日常を描いた話なんでしょ?」

門倉が当時の真相を話すと、外にいた美里が怒鳴り込んでくる。
「ひどすぎます!読みもせずに断っただなんて許せないわ!母はこの原書命懸けで翻訳したんですよ!それなのに読んでない!?本にも母にも失礼です!」
興奮する娘を花子は止めた。
「美里、お客様に何を言うの!」
「お母様、こんな心ない人がやってる出版社に大切な原稿を」
「いい加減になさい!…門倉社長、小泉さん、申し訳ありません。このように私のしつけがなっておりませんで…美里も謝りなさい!申し訳ありません!」
花子は小泉と門倉に頭を下げた。

「…いえ、お嬢さんが怒るのも無理ないです。すいません。社長も何か言って下さい!」
小泉がそう言うと門倉は赤毛のアンの原稿を読むと言い出す。
「分かりました。読みます!これから読みますから…原稿をお借りしても?」
「え?ええ、もちろん」
花子が原稿を渡すが、美里は門倉を睨んでいた。
「本当に読んで下さいね!」

その日の夕方、ももは、落ち込んでいる美里に気がつき話しかけた。
「反省中?」
「…私ってどうしてこうなのかしら?カ~ッとなると自分を抑えられなくなってしまうの」
「お母様の大切なお客様だからちゃんと謝らなきゃね(笑)」
「でも許せない事は許せないわ!」
「そういうとこ、お姉やんそっくりだね。お姉やんも小さい頃からカ~ッとなると自分を抑えられなくなって。幼なじみの朝市さんにも『はなは怒るとおっかねえ』って言われてたの」
「でも…私の本当のお母様は、もも叔母様なんでしょう?」

美里の言葉に、ももはしばらくの間をおいた。
「ええ…生みの親は私よ。でも美里ちゃんもよく分かってるでしょ?お姉やんは美里ちゃんを心から愛してる。あんなにあなたの事を思ってる人は世界中で2人だけよ」
「お母様とお父様?」
「そう。あとでお母様にちゃんと謝らなきゃね(笑)」

― 美里は仕事中の花子に声をかけた。
「あの…お母様。さっきはごめんなさい。お母様のお客様にあんな失礼な態度をとってしまって…反省しています」
「…そうね。いくら頭にきたからといって目上の人に対してああいう態度はよくないわね。美里ももう大人なんだから弁えないと。…でも、正直言うと少しスッキリした」
「えっ?」
「美里が怒ってくれなかったら、お母様が怒ってたかもしれない。読まずに原稿を突き返すなんてひどいわよね(笑)」
「それからね…私、お母様の娘でよかったわ。自分でも困った性格だと思う事もあるけど、私は自分の他の誰にもなりたくないわ(笑)」

>その夜、遅くなってからの事でした。
英治達は休刊日の自宅の図書館に人がいる事に気がついた。
「誰かいるんですか?」
英治と花子、美里が恐る恐る中を覗くと、小泉と原稿を真剣に読んでいる門倉がいた。
「遅くまでお邪魔してすみません!」
「今まで原稿を読んでいらっしゃったんですか?」
「はい…社長、読みはじめたら止まらなくなってしまって…」
小泉が事情を話すと美里は二人に頭を下げた。
「あの…昼間は、ついカ~ッとなって…申し訳ありませんでした!」
すると原稿を読んでいた門倉が笑顔で立ち上がった。
「いいじゃないですか!アン・シャーリーのようで!」
「はっ?」
「それより僕は今、自分に腹が立ってしょうがない!こんなに面白い物語を何で僕は今まで出版しなかったんだ!まず言葉が素晴らしい!ありふれた日常を輝きに変える言葉がちりばめられています!これは村岡先生の優れた表現力によるところが大きいでしょう!そしてアンの夢見る力が素晴らしい!小泉君、社に戻ろう!すぐ出版の準備に取りかかるんだよ!」
門倉は小泉を連れ、勢いよく出て行った。

花子達は呆然となっていた。
「つまり…出版できるという事?」
「そうだよ」
「お母様、よかったわね(笑)」
「・・・ついに本になるのね」
>曲がり角の先が、やっと少し見えてきたような気が致します。

花子とアン第154回の感想

茂木さんの演技が逆に新鮮な回でした(笑)
それより翻訳の原稿を読むのってそんなに時間かかるもんなのでしょうかね…『こんな時間』が何時かわかりませんが、雰囲気的に22時くらいかな…それまで社長につき合わされている小泉君、かわいそう。

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